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納豆の薬効 ― 一粒の納豆に含まれる効能 ―

 納豆は煮た大豆に納豆菌を付着させて発酵させた食べ物です。世界一の長寿国である日本の和食が注目を集める中で、その特有さから、ひと際脚光を浴びているのが大豆発酵食品の納豆です。

日本は微生物の王国

 湿度が高く、雨の多い日本列島は、無類の微生物王国。その微生物の力を上手に利用して、さまざまな発酵食品を生み出してきました。味噌、しょうゆ、漬物、甘酒…と数多くある発酵食品の中で、納豆はもっとも手軽に取ることのできる身近な発酵食品です。この地球上には約60億強の人々が暮らしていますが、ネバネバと糸を引く納豆を好んで食べる民族は、日本人だけといっても過言ではありません。

日本の風土が生んだ納豆

 日本特有といえる納豆の誕生には、日本の風土が深く係わっています。高湿多雨の風土はさることながら、納豆に必要な菌が身近にたくさん存在する特有の土壌があったことが大きな要因となりました。
 菌の力を利用してつくられる発酵食品に菌の存在は不可欠で、納豆の場合は納豆菌(学名:バチルス・ナットウ)が働くことによって煮大豆が納豆に生まれ変わります。
 納豆菌は土中や空気中など自然のあらゆる場所に野生している「枯草菌=こそうきん」の一種で、水田のワラに多く存在しています。
 日本産のワラ1本には、約1千万個の納豆菌が胞子の状態で付着しているといわれ、菌の繁殖力はきわめて旺盛で、たんぱく質分解能力に優れています。

江戸っ子に大人気

 「豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)」と呼ばれていた日本は水田稲作の国。豊富にあったワラと、水田の畦や土手で栽培されていた大豆が結びつき、世界でも類まれな「糸を引く納豆」を誕生させたのです。
 庶民の食べ物として定着したのは江戸時代で、とくに江戸の町で大人気。江戸っ子はとにかく納豆が大好きだったようで、町に響き渡る納豆売りの声は、江戸の朝を告げる風物詩であり、その模様を詠んだ川柳が数多く残っています。

納豆の栄養・効能

 おいしくて、栄養があり、米食に合う食べ物ゆえに、納豆は和食に欠かせない存在として食べ続けられてきました。価格が廉価なことも大きなポイントです。体によくて安いからこそ、長く、そして欠かすことなく食べ続けられてきたのです。納豆の代表的な栄養成分をご紹介しましょう。

●納豆に含まれる栄養成分
たんぱく質 原料の大豆は良質な植物性たんぱく質だが、動物性たんぱく質が多く含有するアミノ酸も含んでいるため「畑の肉」と呼ばれている。納豆のたんぱく質はアミノ酸化しているため、吸収率が高く、血管をしなやかにして免疫力を高める。
脂質 大豆が含む20%前後の脂質は不飽和脂肪酸で、その大半がリノール酸やリノレン酸。悪玉コレステロールを減らして動脈硬化を予防し、血栓をできにくくして脳血栓などの予防に働く。
レシチン 脂質の一種で、脳内細胞の衰えを防ぎ、記憶力の低下やボケの予防に有効。
ビタミンB1 疲労を回復させる。脳に必要なブドウ糖を完全燃焼させ、脳を活発にする。「疲労回復のビタミン」と呼ばれている。
ビタミンB2 体内の過酸化脂質をできにくくし、脂肪の蓄積を予防する。「美容のビタミン」と呼ばれている。
ビタミンE 「若返りのビタミン」と呼ばれ、不飽和脂肪の酸化を防ぎ血管を丈夫にする。脳の老化防止も期待できる。
ビタミンK2 骨からカルシウムが抜け出すのを防ぎ、骨折の予防に有効。カルシウムを骨に接着させる糊の役目をする。
カルシウム 多くの日本人が不足しているミネラル。骨や歯の材料であり骨粗鬆症を予防する。精神を安定させる働きもある。一般に吸収しづらいが、良質なたんぱく質と一緒に取ると吸収率が高まる性質がある。納豆は良質なたんぱく質を含有しているのでカルシウム吸収率に優れている。
カリウム 体内の塩分を排出し、血圧を安定させる。
食物センイ 腸内の有害物質や老廃物を排出し、便秘や大腸がんを予防する。
サポニン 「サポ」は「泡」という意味で、血管壁に付着したコレステロールなどを洗い流し、動脈硬化などを予防する。
イソフラボン 大豆胚芽に多く含まれる抗酸化力の高いフラボノイドの一種で、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、骨の密度を保つ。女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする。
オリゴ糖 腸内の善玉菌のビフィズス菌の栄養源となり、ビフィズス菌を増やして腸の調子を整える。
納豆菌 非常に強い菌で、腸内でも生き続け、ビフィズス菌などの有用菌の増殖を助ける。納豆1gには生きた納豆菌が10億個以上含まれている。
ナットウキナーゼ 納豆菌がつくり出す糸に含まれている酵素で、1987年に発見された。血栓の発生を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞の予防に有効。酵素なので70℃以上になると活力が失われてしまうので注意。また、血栓が発生しやすいのは夜中の3~4時なので、ナットウキナーゼの効能を生かすなら、納豆は夕方に食べた方が効果的。

「生卵がけ納豆ごはん」のススメ

 納豆が含む栄養素はまだまだ多くあり、一粒の納豆が持つ栄養素には驚かされるばかりです。納豆だけを食べても十分な栄養が取れますが、さらに効果を高める「生卵がけ納豆ごはん」はいかがでしょうか。
 ごはんの上に納豆と生卵をかけるという、至ってシンプルで、そして独創的な納豆の食べ方は、卵にもお米にもレシチンが含まれているため、レシチンを十二分に取ることができる食べ方です。さらに、卵の卵黄には記憶物質であるアセチルコリンを効率よく合成するビタミン12が豊富なため、記憶力がより高まり、ボケを予防する理想的な食べ方となるのです。
   21世紀は情報化の時代。いつまでもイキイキした脳を維持するためにも、ぜひ「生卵がけ納豆ごはん」を召し上がってください。
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