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カツオ節の威力 ―和食も決め手はたっぷりのだし―

 日本料理の決め手は「だし」。だしには塩分をやわらかくして味に奥行きをつける効果もあるため、だしをたっぷり使った料理は、塩分が少なくても十分にうまみが出せるという特徴を持っています。だしは料理にうまみを加えるのみならず、そのうまみ成分の中に、健康に役立つ種々の栄養成分を含んでいます。

和食の四大だし

 和食の四大だしは、「カツオ節」「昆布」「煮干」「干ししいたけ」。その中で一番ポピュラーに使われているのがカツオ節ではないでしょうか。
 カツオ節はチーズに並ぶ、日本が誇る発酵食品で、カツオを煮てからあぶり、干してカビ付けするという約5~6カ月かかる工程を経て作られる動物系のだしです。現在のような製法が誕生したのは江戸時代の初期ですが、その前身としてはるか遠い奈良時代に、干し固められたかたいカツオをゆでて干し、削って料理に使っていたと文献に残っています。

カビがたんぱく質を分解し、特有のうまみを生み出す

 カツオ節を作る時に使われるカビは、酒や味噌、しょうゆの製造に使われるアスペルギルス属の仲間で、菌糸がカツオの節の内部に入り込んで水分の通り道を作り、乾燥を早め、たんぱく質や脂質を分解して特有のうまみ成分を生み出します。
 カツオ節の約77%はたんぱく質で、たんぱく質はカビの力によって良質なイノシン酸やグルタミン酸などのアミノ酸に分解され、脳の働きを高め、老化防止に有効に働きます。さらにアミノ酸の一種であるタウリンが血中コレステロールを下げて血圧を安定させ、心臓や肝臓を丈夫にしてくれます。

カツオ節を丸ごと食べる

 だしを取った後のカツオ節もふりかけや佃煮にして全部食べ切るようにしましょう。カツオ節には、うまみと同時に上品なコクを出すアミノ酸以外にも、実に豊富な栄養素が含まれているのです。
 まず挙げたい栄養素の筆頭は、カルシウムとビタミンD。ビタミンDの正式名称は「カルシフェロール」といい、「カルシ」はカルシウム、「フェロール」は運ぶという意味を持っています。つまりビタミンDは、カルシウムの運搬屋でありカルシウム吸収と深く結びついているのです。カルシウムは骨や歯を強化すると同時に、精神を安定させる効果にも優れています。そのせいでしょうか、戦国時代の武士の携帯食として用いられたと伝えられています。
 さらに疲労を回復するビタミンB1、老化を防止するビタミンE、鉄分や亜鉛、マグネシウムなどのミネラル類もたっぷり含まれています。脂質は集中力を高めるDHA、血行をよくするEPAなど、その効能には驚くばかりです。

定番の「豆腐にカツオ節」の根拠

 冷奴や湯豆腐にカツオ節はつきものですが、これは実に理にかなった食べ合わせであることをご存知でしょうか。
 豆腐の原料は「畑の肉」と呼ばれる大豆。たんぱく質や脂質、ビタミン類、ミネラル類に優れ、長い間日本人の健康を支えてきた食材です。ただ、残念なことに必須アミノ酸のメチオニン含有が少ないという欠点があり、そのため、たんぱく質のアミノ酸スコアが肉や魚よりも劣ります。
 そこで考え出されたのが、メチオニンを豊富に含んだカツオ節。豆腐と一緒にカツオ節を食べると、不足気味のメチオニンが補われ、豆腐は植物性でありながら、肉や魚に負けない高たんぱく質の食べ物に変身するのです。

 栄養素の解明がなされていなかった時代から、先人たちは食を食べ合わせることで栄養のバランスを整え、健康を守り続けてきました。ここに食べ続けられてきた伝統食の奥深さがあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
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